高血圧治療ガイドライン
心房細動の患者では心臓の中で血栓が出来、それが脳に飛んで心原性脳塞栓を起こし患者の予後を悪くします。それを予防する薬ワルファリンは血中濃度をモニターのため、頻回の採血をしたり、納豆やクロレラがワルファリンの効果を減弱させるため、患者に食事制限をしないといけない薬であった。直接トロンビン阻害薬ダビガトラン(プラザキサ)は食事制限の必要がなく、血中濃度のモニターの必要性もありません。しかもワルファリンより脳塞栓予防効果が高いことが証明されました。
5月の時点では2週間投与しか認められておらず、なかなか使いにくい状態。価格が高いのも問題であるが、出血のリスクも低下し今後ワルファリンに変わる薬として多く使われることになるであろう。
「心房細動における新しい抗凝固療法への期待」
宮崎大学 今村卓郎先生
心房細動と脳卒中の関係
心房細動による心原性脳塞栓は非常に予後が悪い病気である。1年での死亡率は約50%であり、もし助かっても重篤な後遺症を残します。心房細動があると、脳卒中のリスクが5倍ほど発症リスクが増加します。年間の脳卒中発症率は3-5%である。発作性の心房細動は持続性心房細動同様に脳梗塞のリスクになります。
CHADSスコアが増加するにしたがい脳卒中のリスクが増加します。
C 心不全 1点
H 高血圧 1点
A 高齢者 75歳以上 1点
D 糖尿病 1点
S2 脳卒中、TIAの既往 2点
ワルファリン内服により脳卒中の頻度を低下させることができます。75歳以上、心不全、高血圧、%FS25%以下、糖尿病などCHADS2スコアでは、(1)~2スコア以上あればワルファリン推奨。
70歳未満では2-3を目標、75歳以上では1.6-2.6を目標
リスクを持たない場合は60歳未満は抗凝固療法は不要、75歳以下では抗血小板薬、75歳以上ではINR:1.6~2.6を目標
アスピリン投与は心血管イベントの抑制効果のエビデンスは証明されていない。
ワルファリン服用が必要な患者は多いが、服用している人の服薬コンプライアンスは悪い。
新しい経口抗凝固薬が50年ぶりに発売されました。
プラザキサは直接トロンビン阻害薬で非弁膜性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身塞栓症を抑制する効果効能があります。
RE-LY試験によると、プラザキサの特性は通常量は150mgx2/日でワルファリンより高い予防効果を示しています。
中等度の腎障害(CCr30-50の患者)は110mgx2/日投与です。
安全性に関してはプラザキサはワルファリンに比較して頭蓋内出血のリスクを低減させた。
利便性についてはプラザキサはモニタリングが不要であり、薬物相互作用が少なく、食事制限もない。
【血圧測定】
1. 診察室での血圧測定はカフを心臓の高さにして、安静座位の状態で測定する。1-2分の間隔をおいて複数回測定し、安定した値を示した2回の平均値を血圧値とする。高血圧の診断は、少なくとも2回以上の異なる機会における診察室血圧値に基づいて行います。
2. 診察室血圧の測定は水銀血圧計を用いた聴診法や、自動血圧計の使用も認められている。
3. 家庭血圧や自動血圧計による24時間自由行動下血圧の測定は,高血圧,自衣高血圧、仮面高血圧の診断と薬の効果、薬効持続時間の判断の役に立ち、診療の参考とします。
4 .家庭血圧測定には、手首血圧計ではなく、上腕カフ血圧計が良い。
5. 高血圧基準値
診察室血圧値は140/9 mmHg以上
家庭血圧値は135/85 mmHg以上
24時間自由行動下血圧値は130/80 mmHg以上
上記の場合に高血圧として対処します。
6. 家庭血圧の正常血圧基準は125/80 mmHg未満。
7. 高血圧診療では、仮面高血圧、自衣高血圧の存在する。
これに加え治療抵抗性高血圧の診断と治療のために、家庭血圧測定あるいは、24時間自由行動下血圧測定は不可欠。
8. 高血圧診療では,血圧日内変動パターン、夜間の血圧、早朝の血圧、職場での血圧なども重要。
JCH2009参照(一部改変)
高血圧の診断には正確な血圧の測定が必要です。自宅や健康センターなどでの血圧も、診察室での血圧測定同様に評価されることがあり、高血圧患者は家庭内での血圧測定が勧められる。
初回診察時に血圧が高くてもすぐには高血圧の診断はつかない。
JCH2009参照(一部改変)
今回のガイドラインでは、わが国での高血圧患者は非常に多いが、若年者は治療をしていないことが多いことや、疫学的には高血圧は心筋梗塞よりむしろ、脳卒中に強く相関していることが判明している。
高血圧を治療することで脳卒中、心疾患が改善することがわかっており、塩分を多く取る日本人は減塩によりさらに長寿となる可能性がしめされている。
心臓は血液を循環させるポンプの役割を担っている。高血圧では心臓は強い力が必要となり、疲労し心肥大を起こします。また心筋梗塞などで心臓がダメージを受けると心臓のポンプ機能が低下します。
心臓は生命誕生後、生涯拍動を続けますが、その心臓の機能が低下すると、血液の循環が悪くなり、息苦しさ、浮腫などの症状が出てきます。人の血管を一本につなげると地球2週半の長さといわれ、驚くべきことは、この長さの血管をこぶし大の心臓がくまなく血液を循環させていることだ。最近糖尿病、高血圧などの生活習慣病から心不全を起こす患者さんの増加を実感しています。
心不全になるとどうなるか?多くの患者さんが入退院を繰り返し、生活の質を下げることとなります。現在の医療で一度起こった心不全を根本的に治すことはできませんが、症状をコントロールすることは可能です。
クリニックで診療時にショック状態であれば後方病院に転送させていただくことがあります。
ショック状態の早期認識、早期治療をさせていただきます。
全身性の循環不全により、組織や細胞レベルで栄養・酸素が供給されていない状態
意識障害、呼吸困難、気分不良、顔面蒼白、
末梢の冷感、尿量の減少、血圧低下、呼吸数の増加
循環血液量減少性ショック・・・・出血、脱水など
心原性ショック・・・心筋梗塞、不整脈など
神経原性ショック・・・緊張性気胸、心タンポナーデ
アナフィラキシーショック
敗血症性ショック・・・エンドトキシンと抗体の反応
意識確認→臥位にする→バイタルチェック
アレルゲン暴露など
発症6-12時間が症状のピーク
皮膚が紅潮、皮膚が温かい、浮腫、
アドレナリン0.3mg筋肉注射、生理食塩水点滴、酸素投与
36歳 男性
歯医者で処方された抗生剤内服後より
全身の痒み、皮膚の紅潮、息苦しさ出現したため当院に来院された。
診察所見では、100回/分と脈が速く、100/70mmHgと血圧低下、手足のほてりを認めた。、
アナフィラキシーショックと診断し、酸素投与、モニター装着、
生理食塩水点滴、ボスミン0.3ml筋肉注射試行後症状改善認めている。
胸痛は心臓などの臓器があり、特に心筋梗塞、狭心症などの虚血性心疾患(心臓の血管が詰まる)は生命の危険性があり、注意して診察させていただいています。急性大動脈解離(動脈の壁が剥がれる)肺塞栓(肺の血管が詰まる)気胸(肺が破れる)食道破裂(食道の壁が破れる)なども重症です。そのほかにも胸膜炎、気管支炎、心膜炎、食道炎、帯状疱疹(ピリピリ感、水疱)、潰瘍などさまざまな疾患があります。 まず初めに血圧、脈拍などのバイタルサインをチェックさせていただきます。胸痛の場所、どのような痛みなのか、いつから胸痛があるのか?などを聞かせていただき、必要な場合には、心電図、胸部X線撮影、血液検査を行います。
特発性食道破裂:嘔吐で食道の圧が上昇することが原因です。胸痛と息苦しさがあり、胸部X線やCTで診断できます。
命にかかわる胸痛を伴う病気(4大疾患:1-2%)
急性冠症候群、気胸、大動脈解離、肺塞栓症があります。これらの病気は死亡する可能性が高く他の疾患との鑑別が必要です。
死亡率も高く緊急で治療が必要です。
胸痛症状に対してはまずは心電図を取らせていただきます。
(異常所見をチェック:ST上昇、Q波出現、T波陰性化、不整脈)
心臓の冠動脈の閉塞、狭窄により起こります。
急性冠症候群の症状は多彩です。心電図の約半数は非典型的であり、病歴、診察など総合的に判断させていただきます。
虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症):胸部絞扼感・圧迫感(胸の締め付けられる感じ)を伴う胸痛が特徴です。心電図で特徴的は波形(ST上昇)があれば疑われます。血液検査では白血球、CK、GOTが増加し、心筋障害マーカー(トロポニンT)の上昇なども重要です。
急性冠症候群の典型的な症状
突然発症、胸骨下の痛み、圧迫感、肩に放散痛(右肩、左肩)、冷や汗、吐き気、労作時に発症、30分以上持続、ニトロ製剤で軽快
大動脈の解離しその間に血腫を形成する疾患です。胸痛は突然の胸痛、引き裂かれるような痛み、移動する痛みを訴え、高血圧、動脈硬化の患者が多いです。血圧の20mmHg以上の左右差があり、レントゲンで上縦隔拡大があれば強く疑われます。
胸痛,息苦しさの訴え、痩せ型の男性に多いです。胸部レントゲン写真で肺が破れていることがわかれば診断できます。軽症であれば安静で自然に肺が膨らむこともありますが、胸腔穿刺、胸腔ドレナージ(胸にチューブを入れる治療)による脱気が必要なこともあります。
肺動脈が閉塞した状態であり、突発的な呼吸困難、胸痛症状があります。
心電図で疑い、診断には心エコー、胸部CTが必要ですが、診断が難しい病気です。
肺塞栓の疑いがある場合に、下記の病歴と身体所見をチェックすることで肺塞栓の事前確立がわかります。
下肢の浮腫と深部静脈の圧痛 3点
他の疾患が見当たらないとき 3点
固定または外科手術(4週間以内) 1.5点
肺塞栓症、深部静脈血栓症の既往 1.5点
喀血 1点
癌(治療中、6ヶ月以内に治癒、緩和治療)1点
事前確立
低危険度 3.6% 2以下
中等度危険群 20.5% 3~6点
高危険群 66.7% 6点以上
虚血性心疾患、大動脈解離、肺塞栓などの重症の疾患の可能性がある時は専門施設での治療が必要です。杉循環器内科病院、大牟田済生会病院、大牟田市立病院などに紹介させていただきます。
その他の疾患でも胸痛が持続するときは厳重な経過観察が必要です。
長岡内科医院 (呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、内分泌代謝内科)
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